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ギリシャ・ローマ神話の英語表現集 (7)
S
Siren song
(セイレーンの歌⇒誘惑[欺瞞]のことば[訴え])
■ セイレーンは、半女半鳥の海の精で、美しい歌声で近くを通る船乗りを誘い寄せて船を難破させた。ホメロス(Homer)作のオデッセイア(Odyssey)の中でオデッセウス(Odysseus)は、自分の体をマストに縛りつけてもらい、部下たちには蝋で耳栓をさせて、セイレーンの歌に対処した。
<参考>
オデッセイア(Odyssey)はホメロスの作とされる大叙事詩。トロイア戦争(Trojan War)のギリシャ側の大将オデッセウス(Odysseus)が戦争後10年間放浪したあと、故郷へ帰って妻ペネロペー(Penelope)の求婚者たちへあだ討ちをする。ここから、odyssey は「長期の冒険旅行、波瀾万丈の放浪の旅」といった意味で用いられることがある。
Son of Bacchus
(バッカスの息子⇒大酒飲み)
■ バッカスはローマの酒の神。bacchanalian は「どんちゃん騒ぎの」の意。
Sop of Cerberus
(ケルベロスのパン切れ⇒賄賂)
■ ケルベロスは、3つの頭と蛇の尾をもつ地獄の番犬。古代ギリシャやローマでは、冥府の門を難なく通過できるよう、死者の手にはケルベロスに与えるパンを握らせる習慣があったという。throw a sop to Cerberus で「賄賂を使う」の意。
T
Tantalize
(望みをかなえてやりそうに見せてじらす)
■ ゼウス(Zeus)の子タンタロス(Tantalus)に由来する。タンタロスは神々の秘密を漏らしたため、あごまで地獄の水につけられのどが渇いて飲もうとすると水は退き、飢えて木の実を採ろうとすると枝がはね退くという、飢渇の責苦を負わされた。
The Apple of Discord
(不和のリンゴ⇒争いの種)
■ 争いの女神エリス(Eris)が “for the most beautiful” (最も美しい方へ)と書いて神々の間に投げ入れた黄金のリンゴで、これをヘラ(Hera)、アテナ(Athena)、アフロディテ(Aphrodite)の3女神が奪い合い、トロイア戦争の原因となった。
The Cretan labyrinth
(クレタ島の迷宮)
■ the Labyrinth ともいう。クレタ島の王ミノス(Minos)が、怪物ミノタウロス(Minotaur)を閉じ込めるためにダイダロス(Daedalus) に命じて造らせた迷宮。
<参考>
ミノタウロス(Minotaur)はミノスの妻パシパエ(Pasiphae)と牛の間に生まれた人身牛頭の怪物。ミノス王が迷宮に閉じ込め、毎年7人の少年少女を食べさせていたが、テセウス(Theseus)に退治された。
The Elysian fields = Elysium
(エーリュシオン⇒幸福の理想郷、楽土、至上の幸福)
■ エーリュシオンは、英雄・善人が死後に住む極楽。
The Golden Age
(黄金時代)
■ クロノス(Cronos)の支配していた時代。気候は温和で労働なくして産物に恵まれ、不正と悪のない人類の至福の時代。クロノスは巨人族(Titans)の一人。父ウラノス(Uranus)の王位を奪ったが、のちにゼウス(Zeus)に退けられた。
<参考>
ギリシャの詩人ヘシオドス(Hesiod)によれば、次の「銀の時代」(the Silver Age)に涜神の罪により人類はゼウス(Zeus)に滅ぼされ、「青銅時代」(the Bronze Age)には人間同士殺し合う末世となり、最後の「鉄の時代」(the Iron Age)にはあらゆる害悪がはびこり神々は地上を去った。